FURU2006-04-03

あらためまして、昨日のライヴ『フリッツ・リッチモンド・トリビュート』です。
ジム・クウェスキン&ザ・ジャグ・バンドのベーシストだったフリッツ・リッチモンド。彼の追悼ライヴが、今やジャグバンドのメッカとも言えるここ日本で実現しました。参加ミュージシャンには当時のジャグ・バンドのメンバーだったジム・クウェスキンにジェフ・マルダー、そして当時ラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャン!!彼は60年代、ずっとジムのジャグ・バンドに憧れていて一緒に演奏するのが夢だったとか(本人談)。

我々はお茶の水、神保町、水道橋とレコ屋を回ってから渋谷入り。5時オープンの6時スタート。今回のライヴ会場であるduo MUSIC EXCHANGEの入り口にはオープン前から大勢の人が集まっていました。そしていよいよ開場。スタンディングの場内の前から4〜5列目あたりに陣取り、ライヴのスタートを待ちます。もうこの段階で、何かいつもとは違う熱気と期待に会場が包まれている感じがします。

6:10。いよいよライヴのスタートです。まずはその前日の横浜ジャグ・フェスティバルにも出演したという日本のジャグ・バンド2組によるオープニング・アクト。どちらも初めて見ましたがこれがなかなか楽しかったですね。特に2バンド目は選曲がとてもマニアック。戦前の全然知らないジャグ・バンドのカバーだとか。

そして、いよいよ“主役達”の登場です。まずはジョン・セバスチャンがギター一本で登場し、場内は大歓声!!弾き語りでラヴィン・スプーンフル時代の名曲を披露してくれました。曲ができた当時のいきさつなんかをトークで交えながらの実に楽しいひと時。興奮気味だった会場も、徐々に和やかであたたかい雰囲気に包まれていきます。マーサ&ヴァンデラスの「Heat Wave」が「魔法を信じるかい」、シュープリームスの「Baby Love」が「Daydream」にインスピレーションを与えた、なんていうエピソードは60年代好きの私としてはホントもうワクワクしちゃいますね。

このまましばらくは弾き語りか?と思った矢先、「Daydream」の時に、ベースで細野さんが登場。そして、ウォッシュボードを抱えてジェフ・マルダー、ギターを持ってジム・クウェスキンまでもがここで一挙に登場!!!!うぉぉぉぉ〜、すごい4ショットだぁぁぁぁ〜。自分のたった4メートルくらい前で、なんだか物凄いことが起こっているぞ。これを「夢の共演」と呼ばずして何と呼びましょうか。4人による「Daydream」の演奏。これは日本でも大人気のナンバーですからね〜。間奏の口笛の部分をお客さんにも吹かせるジョン。さすががニクイですね。

20分間の休憩後、今度はジェフ・マルダーがギターを持ってフロントに登場。独特の憂いのある味わい深いボーカルは彼ならではのもの。ギターもいいねぇ。すぐにジョンや細野さん、そしてジムも再びステージへ登場してきて、曲ごとに編成を少しずつ変えて聞かせてくれます。ジョンのハープに細野さんのマリンバを加えた「Small Town Talk」、ヘリウムを吸いながら歌うというユーモラスな一面も見せてくれた「Sweet Sue」など大好きなナンバーが続々と登場します。ジェフは本当に器用な人で、この日だけでもギター、マンドリンバンジョー、カズー、ウォッシュボードなど、曲ごとに色んな楽器を演奏してましたね。

後半はいつの間にか主役がジム・クウェスキンにバトンタッチされたような感じで、日本のジャグ・バンド・プレイヤー達もステージに登場。往年のジャグ・バンド・ソングが次々と演奏され、会場のボルテージもどんどん上がっていきました。このあたりでは、ジムが演奏中にバンドにブレイクなどの指示を出したりして、さすが親分肌なところを見せてくれました。ジム・クウェスキンはスラッと背が高くて顔も小さく、実にダンディーでかっこいいお方でした。長い長いブランクなんて全然感じさせませんでしたね。

ジムのバンドで演るのが夢だったというジョン・セバスチャンは、このあたりはずっとハープ演奏(これがまた味わい深い!!)に徹していました。そんな中でも、日本のハーピストにもソロを渡したりと、バンドみんなで演奏を楽しもうという姿勢も絶対に忘れない人。彼の温かい人柄が本当によくにじみ出たステージだったと思います。

ライヴの途中で、ふと後ろを振り向いてみると、お客さん達がみんな本当にあたたかい目で、そしてこれ以上ないようなあたたかい表情でステージを見守っていました。私が今までに見てきたどのライヴとも違ったこの光景。色んな意味で、私にとって一生忘れられないライヴとなりましたよ。


最後に余談ですが、私も含めた何人かは、ライヴ後に食べた「とんかつ」の味も永久に刻まれることでしょう。