ドラムが歌ってる

FURU2005-03-09

Marvin Gaye『Let's Get It On』

「本日のコタツ音楽」はマーヴィン・ゲイの73年リリース『Let's Get It On』。このアルバムは71年の『What's Goin' On』と並んでマーヴィンの代表的な一枚に数える人も多いんじゃないかな。マーヴィンのボーカルの素晴らしさは言わずもがなですが、このアルバムには実は私なりの聞き方ってのがあるんですよね。

それはズバリ「ドラムを中心にして聞く」です。このアルバムにはギターにデヴィッドT.ウォーカー、ベースにはジェームス・ジェマーソンという超が付くほどの名プレイヤーが参加していますが、私はこのアルバム(の特にA面)で繰り出されるサウンドの素晴らしさのカギは「ドラム」にあると昔から思っています。アルバム裏ジャケには3人のドラマーの名前がクレジットされていますが、あいにく誰がどの曲を叩いているのかまでは記されてはいないんですよね。でも、その中でA面のほとんどの楽曲で叩いていると思われるのがポール・ハンフリーでしょう。彼のドラミングはとてもメロウで、起伏のコントロールがうまいんですよね。ドラムがまるで感情を持って生きているかのよう。彼のプレイは、言ってみれば、「ドラムを叩く」んじゃなくて「ドラムに歌わせている」んですよね。


アルバム冒頭のタイトル曲「Let's Get It On」、そしてそれに続く「Please Don't Stay(Once You Go Away)」をぜひぜひドラムを中心にして聞いてみて下さい。


・・・ホラホラ、マーヴィンのボーカルと時に絡み合うようにしながら、ドラムがまるで歌っているかのように聞こえるでしょ?