こんなギターが弾けたら・・・(3)

FURU2004-12-25

クリスマスとは全く関係のない日記ですみません(笑)。

Blind Blake『Ragtime Guitar's Foremost Fingerpicker』

私が今まで聞いてきた中で1920年代のスーパー・ギタリストを3人挙げるとしたら、前回紹介したロニー・ジョンソンとエディ・ラング、そしてもう一人が、何と言っても今回登場するブラインド・ブレイクでしょう。

ロニー・ジョンソンやエディ・ラングの都会的洗練度の高いギター・プレイと違って、このブラインド・ブレイクは、カントリー・ブルーズ系フィンガー・ピッキングの達人。ラグタイム・ギターはこの人が完成させたって言っていいんじゃないかな。戦前〜戦後にかけて本当に数多くのフォロワーを生みましたが、その中で彼のプレイをしっかりと再現できた人ってホント数少ないんじゃないかな。このスピーディーかつ正確なギター・ワーク、そして彼の卓越したリズム感・躍動感は、ちょっとやそっとじゃ真似できないもの。フィンガーピッキング・ギター教則ビデオでお馴染みのステファン・グロスマンもビデオの中で「ブレイクの親指のベースランを習得するのに3年かかった。そして今だに彼のようには弾けない」みたいなことを語っていましたっけ。もちろん私なんぞには手も足も出ないようなスーパー・プレイの連発でございます(笑)。

盲目であるブレイクの研ぎ澄まされた「音」の感覚。のほほんとした味わいのボーカルと一体となった弾き語りや、高速ラグタイム・インストはとても聞き応えのある素晴らしいものですが、彼の本当に凄いところは、そういったスーパー・テクニックをさりげなく楽しく聞かせていること。このプレイの裏側には血のにじむような努力があったはずですが、そんなことは全く感じさせずに、もうギター弾くのが楽しくて楽しくてしょうがないっていう感じなんですよね。スーパー・プレイうんぬんは置いといて、とにかく「和める」のが彼の音楽の最大の魅力なのかもしれません。

若くして亡くなってしまった彼の姿は、このアルバムでも使われているたった一枚の写真でしか残されていません。もしもタイムマシンが一度だけ使えるのなら・・・なんて、よく使われる表現ですが・・・私は迷わずこの時代へ飛んで行き、彼の演奏をしっかりとこの目で見たいと思っていますよ。