こんなギターが弾けたら・・・(2)

FURU2004-12-23

V.A.『Pioneers Of The Jazz Guitar』

前回の日記に「ジャンゴがジャズ・ギターの元祖というわけではない」みたいなことを書きましたが、じゃあジャズ・ギターの元祖は誰なのか? その答えはこのアルバムの中にあります。これはタイトルが示す通り、ジャズ・ギターのパイオニアと思われるアーチスト達の音源を集めたコンピ。戦前ミュージックを中心にリイシュー活動を展開する人気レーベル、YAZOOからのリリースで、もうジャケからして素晴らしい!

中でも音楽史的にジャズ・ギターの元祖と語られることが多いのがエディ・ラングとロニー・ジョンソンによるコンビ。エディ・ラングはこのデュオの他にも、ソロによる録音、そして他のジャズ・ミュージシャンのバックなど幅広く活動していた名ギタリスト。他プレイヤーのバックに回ったものとしては、ジョー・ヴェヌーティ(ヴァイオリン)とのものが有名かな。ロニー・ジョンソンは、これまた様々にセッション・ワークに参加し、他に自身のソロにおいてもジャズ・インスト風のものから弾き語りブルーズまで、本当に多数のレコーディングを残しています。エディは白人で、ロニーは黒人。人種の壁がまだかなり高かったと思われるこの時代。エディ・ラングがブラインド・ウィリー・ダンという偽名を使ってこのコンビのレコードをリリースしていたそうです。この2人のギタリストによる演奏は別編集盤でもあるいは単独でもアルバムがリリースされていて、その多くが1920年代の録音。ロニー・ジョンソンに関しては、その後もブルーズ・シンガーとして70年代に至るまでレコーディング活動を続けています。

このコンピ・アルバムには彼ら2人の1920年代の演奏を筆頭に、他にもCarl Kress、Nick Lucas、John Cali & Tony Guttuso、Dick McDonoughといったギタリスト達の1920年代〜30年代のものと思われる名演が収録されています。私の知る限りでは、ポビュラー音楽界においてギターをリード楽器のように弾いた最も古いギタリスト達。そして単に「古い」だけじゃなく、バッキングにしてもリードにしても、時代をかなり先取りしたようなハイセンスなプレイを繰り広げてくれていることに注目したいですね。ジャンゴ以前のギタリストを聞いたことない人は、ぜひお試しあれ!